日本語ディベート


 日本語ディベートの歴史は、実は意外にも浅く、初めて「大会」と呼べるものが開かれたのは、1994年9月4日に東工大で開かれた「秋のディベートコンテスト」が最初だとされています。ここでの成功を受けて、翌95年には日本ディベート協会(JDA)が「JDA日本語ディベート大会」という、一般向けの初の全国大会を開きました。さらに翌96年には、中高生向けの「ディベート甲子園」が、97年には大学生向けの「全日本学生ディベート選手権大会」が開かれ、この時にディベート甲子園がNHK・読売新聞などで大きく取り上げられたことから、日本語ディベートは一気にその認知度を高めることになります。

 その後、大学に進学した一部のディベート甲子園OBが中心となり、2000年には全日本学生ディベート連盟 (JCDF)という、大学に日本語ディベートを普及させるための団体が誕生します。この団体は、年1回の「全日本学生ディベート選手権大会」を引き続いて開催したほか、新たに新人大会も開催していましたが、2002年にNPO法人化して改称し、現在では全日本ディベート連盟(CoDA)という名前になっています。改称してからは、ターゲットを大学生以外に高校や一般人にも拡大したようで、実際に「全日本学生〜大会」も名前から「学生」が取れて「全日本ディベート選手権大会」となり、一般人や高校生も参加可能となっています。

 まだ日本語ディベートのコミュニティは基盤がそれほど安定していないようで、開かれる大会も年々変わりますが、毎年コンスタントに開かれているのは、JDAによる春大会(3月)と秋大会(9月)、CoDAによる全日本ディベート選手権大会(11or12月)と新人大会(6月)の4つとなります。この他、サークルが主催する大会(早稲田のWDD主催のLOVEとPEASE、創価のD-net主催の創価杯など)も毎年いくつか開かれています。現在、新人大会以外のほとんどの大会は一般人・高校生も対象としているので、純粋に大学生向けといえる大会はごく僅かです。

 ルールは基本的にAcademic Debateのスタイルをそのまま踏襲しているのですが、試合時間など、微妙な違いもあります。特徴をいくつかあげてみると、
  • 基本的にはAcademicDebateのスタイルそのまま。言語は日本語。
  • 2人1チーム。形式は立論2回、反駁2回。時間は6分、4分で、Academicより短い。質疑は3分。もともとJDA大会がこのスタイルを採用していたので、他の大会もそれに合わせている。
  • CounterPlan や Topicality などのセオリーも認められている。
  • 論題はJDAが2月と8月に発表する統一論題を採用(Academic Debateと同じ)。
  • Academic Debateに比べ、「聴衆を意識したスピーチを」という点が理想に掲げられることが多い。
となります。

 日本語ディベートの利点は、やはり何と言っても「日本語でディベートできる」という点に尽きます。「なんで日本人なのに英語でディベートしなきゃいけないんだ?」という疑問は極めてもっともで、母国語の方が深い議論ができるにきまってますし、早い英語を適当に散らして証明の弱さをごまかす、などといった姑息な手段も意味をなさなくなります。初心者にも一番とっつきやすいはずです(実際、早稲田のWDD旗揚げ時の中心メンバーは、非常に本質的な議論を展開して強かった)。

 一方で、まだ学生の中心団体であるCoDAの活動範囲が関東地区の一部に限られており、参加するサークルも早稲田のWDD、創価のD-netほか数校と少ないために、その後、こうした利点を十分に生かしきれていないのが現状です。JDA大会を見る限り、学生チームの議論のレベルはバラバラで、まだ十分に洗練されきっていないようですが、この問題については、今後日本語コミュニティが規模を拡大しようと努力していく限り、徐々に解決されていくことでしょう。

 なお、上で述べたような流れと関連して、関東地区の弁論部の集まりである全関東学生雄弁連盟が、やはり96年ごろから内輪で独自にディベート大会を開いているようです(「King of Debate」など。なお、この団体は2001年に解散したものの、各大学の主催で大会自体は続いている)。試合形式は、ほぼAcademic Debateを踏襲していて、
  • 基本的にはAcademicDebateのスタイルそのまま。言語は日本語。
  • 形式は立論1回、反駁2回。時間は5分、4分で、高校のディベート甲子園に近い。質疑は4分。
  • CounterPlan や Topicality などのセオリーも、いちおう認められている?
となっています。こうした地道な活動を続ける弁論部系のサークルのいくつかは、ときどきJDA大会にも出場していますが、結果や議論内容を見る限り、まだまだ成長の余地がありそうです。

※大学での日本語ディベートの普及についての追加記事

© 2004-. Misudo.com. All rights reserved.