社会人・一般向けのディベート


 ここからは、学生ではなく、社会人・一般の方のディベート活動について触れていくことにします。とはいうものの、私はそちらのコミュニティについては直接の関わりがほとんどないので(関係者の知り合いは何人かいますが)、有名なものだけを列挙する程度にとどめます。

 社会人を対象としたディベート組織で有名なものとしては、これまでに何度も名前を出しているJDA(日本ディベート協会)と、JBDF(日本社会人ディベート連盟)の2つがあります。このうち、JDAは大会やセミナーのみならず、統一論題の策定や学会の開催も行うなど、かなりアカデミックな色合いが強く、日本のディベート界全体に対して責任を負っている感があります。

 一方のJBDFは、設立はJDAとほぼ同時期(JDAが1986年、JBDFが1985年)なのですが、月1回の例会や各種大会への参加が活動の中心となっていて、より「選手として」ディベートを楽しみたい人を対象にしているようです。メンバーの参加大会もバラエティに富んでおり、日本語はもちろん、英語のAcademic・Parliamentaryとあらゆる種類の大会に出場しています。メンバーの大多数は学生時代にディベートの経験がなかった人、ということになっていますが、JDA大会では現役学生ディベーターにまったくひけをとらない(どころか、むしろ圧倒している場合が多い)素晴らしい試合を展開していました。いわゆる「大御所」と呼ばれる一流のディベーターが顧問・コーチとして関わっているのも理由としてあげられるでしょうが、それ以上に彼らの議論からは、適当に本を読んでいるだけのぺーぺーの学生ディベーターからは感じることのできない、社会に対する実感・責任感といったものがにじみ出ているように感じられます。当然、展開される議論も非常に本質的でまっとうなものが多く、本当に無理のない「美しい」試合を見せてくれます。

 この他にも、勉強会のような形で自主的にディベートの練習・大会への参加を行っているコミュニティは各地にたくさんあり、私が名前を知る限りあげてみても、東京の緑が丘ディベートクラブ(やはり「大御所」の方の一人が顧問をつとめている)やDebate Open Space、関西のKDLA(関西ディベート交流協会)や京都ディベートの会、名古屋のLLGディベート同好会、北海道のディベート・アゴラ、九州の福岡ディベート研究会長崎ディベート研究会などたくさんあります。こうした勉強会は、メンバーを社会人に限定せず、下は中学生から上はおじいちゃん・おばあちゃんまで、といったスタイルをとっている場合がほとんどです。いくつかの団体のメンバーは、お互いの大会・練習会を行き来したりして、交流を深めたりもしているようです。

 また、こうした純粋に「ディベートを楽しもう」という目的とは別に、ディベートを「ビジネス・ツール」に見立て、これを技術として習得する方向に重きを置いて活動している、ビジネスマン向けの団体もいくつか存在します(N&Sラーニングや、産業ディベート開発センターなど)。

 一般の方が参加できる大会は、小さいものも含めるとかなりの数に上りますが、その中でも規模が大きく、各スタイルで最高峰のレベルを誇るものとしては、 の3つがあげられます。この他にも、大学生向けの日本語ディベート大会(CoDA主催の全日本ディベート選手権(11月)や、早稲田のWDD主催のLOVE、PEACEなど)には、ほとんどの場合一般人も参加できますし、中高生がメインのターゲットながら、一般人の参加を奨励している大会もいくつかあります(ゴールデンウィークの東北ディベート交流会や、11月のしずおかディベート大会など)。また、この他にも、先にあげたような各地のサークルが、定期的に大会を主催したりしているようです。

 なお、入門者向けのディベート講座は各地で頻繁に開かれていますが、その中でも、ほぼ3ヶ月ごとに東京で開かれているJDAディベートセミナーは実績もあり、定評があるようです。

© 2004-. Misudo.com. All rights reserved.