リサーチのやり方


(※まだ骨組みだけです。Last Updated:03.10.02)

・資料を引用する目的 → 専門家の権威(Authority)を借りること

従って、権威のないEvidenceは意味がない。
そのためには・・・

・権威があること(名前/肩書き/年代)
・再確認できること(出版社・アドレスなど)

が必要。

◆使えるソース
・図書館(本・雑誌)
・インターネット
・政府広報文書

◆使えないソース
・授業の講義ノート
・先生/専門家の個人的発言
・個人的に行ったアンケート
・テレビ/ラジオなどの放送

→なぜなら、再確認が困難だから


□それぞれのソースのメリット・デメリット

◆図書館
・情報が深い。比較的authorityが安定。そのかわり、探すのが大変・探せる時間に制限あり(夕方になると閉館)・コピーにお金がかかる。

◆インターネット
・すぐみつかる。いつでも使える。常時接続ならタダ。ただし、情報が全体として浅いし少ない。Authorityもあやしいのが多い。目的とする資料をなかなか見つけられない。

結論:ネットだけに頼らず、ちゃんと図書館に行け!



図書館の使い方

  • 学校の図書室の情報量は限られている。図書館に行くべき。
  • 時間が限られている以上、図書館は「本を読む場所」「そこで知識を得る場所」ではなく、「資料を探し出してコピーする場」としてとらえる。
  • 借りるのは、本当にいいと思った数冊だけ。基本はコピー。自由にメモったり線を引いたりできるのもメリット。
  • とにかく、至上命題は「とれるだけの資料をコピーして家に持ち帰る」こと。読んだり考えたりするのは家でもできる。何度も図書館に通ってその度に資料を出してもらうのは時間がもったいないので、探すときは探すことだけに専念して、最短の回数で済むようにする。
  • 探す前に、その分野全体を概説した本を1〜2冊買って読んでおく。同じ分野について書いている限り、基礎的な部分の内容はほぼ共通しているので、書籍探しの時に「こんなのもう知ってるよ」という本・論文ははじくことができる。これだけで、かなり数は削れる。
  • いちいち全部見ていくときりがないので、いかに効率良く情報を集めるかが勝負。検索システムの活用は必須。

◇雑誌編
  • まず、OPACで雑誌を検索・リストアップ。印刷して、欲しい雑誌に線を引く(自宅でもできます!)。
  • ただし、国会図書館の蔵書リストなので、必ずしもその図書館にあるとは限らない。従って、図書館の雑誌目録(カウンターにあります)と照らし合わせて、ある雑誌を選り分ける。
  • 最新1年分は、開架されている場合が多い。表に最新刊、引き出しの中に直近1年分が入っている。
  • それ以前のものは、書庫に入っているので、資料請求申込書に必要な記号等(雑誌目録に書いてある)を記入し、司書さんに渡す。通常、1回に請求できる本は5〜6冊に制限されているので、分けて請求する。
  • 出てきたら、目的の論文を探し出して付箋を入れておく。また、複写申込書に雑誌名・号・ページ数を記入しておく。
  • コピーする(このとき、どの雑誌の記事なのかわかるようにしておく。雑誌の場合、通常は各ページに出典が入ってるので大丈夫)。
  • 司書さんに本を返して、次の資料を請求する。以下、繰り返す。

◇書籍編
  • まず、日本の論点からはじめると良い。
  • 蔵書検索サービスで、キーワードを入れて何冊か本をリストアップ。
  • 1冊1冊本の名前をメモってるときりがない。たいていの場合、似たジャンルの本は同じところに固まってるので、目的の本が沢山おいてありそうなゾーンをいくつか探して、現地で探す。(例:「環境税」→「社会科学:税」「工業:環境問題」など)
  • その場で読まず、自分が陣取ってるソファや机にごそっと関連する本をまとめて持っていく。
  • 年代を見て、古そうなのははじく。
  • ドキュメント・小説・エッセー形式の本はたいていろくなことを言ってないので、ぱっと見てどうしようもなさそうならやはり弾く。
  • いきなり読みはじめるのではなく、まず目次を見る。あまり関係なさそうなら、この段階ではじく。
  • 必要そうな章をぱらぱらっと探して、適当に付箋をはさみ、まるごとコピー。
  • Authorityが混乱しないよう、本の著作権情報も一緒にコピーしておくとよい。本文の各コピーには、本のタイトルだけ書いておく。
  • こまめにホッチキスを利用すると良い。
  • 開架を取りつくしたら、検索・書庫への請求にうつる。

◇新聞編
  • 1つ1つ逐一見ていくときりがない。
  • 直近の記事なら、ネットで各新聞社のページを検索した方が楽。
  • その分野で何か重要なイベントがあった日(たとえば、温暖化問題なら京都議定書採択・・・など)をあらかじめネットで調べ、その日の記事を当たる、などすると効果的。
  • 古い新聞は、縮小版という形で1冊にまとめられている場合が多い。

☆上手に探すためのこつ
  • 「参考文献」を利用する。
  • あらかじめ、ある程度ブレストしてから出かける。
  • キーワードについては、最初は論題中の単語をそのまま(例:炭素税)。次にメリット・デメリットのキーワード(例:温暖化)というように、徐々に掘り下げて個々の議論に持っていく。
  • 資料を探してから議論を考えるのではなく、議論を考えてから「そのためにはこんな資料が欲しい」と逆算して探すのもコツ。
☆買っておくと便利
  • その分野を概説した本を1〜2冊。
  • Japan Armanac(朝日新聞社・統計資料ハンドブック)
  • 日本の論点(文芸春秋社・最低限の基本的な情報を網羅。リサーチ・ブレストの起点になる)
☆おすすめ
  • 白書系

☆家にかえったら・・・
  • 分担して、ひたすら読む。色分けして蛍光ペンを引くと良い(Aff:黄色、Neg:青色、どっちかわからんけど有益:緑色など)。ボールペンで引くと、見た目が汚くなり、文字を消したりしかねないので、あんまりおすすめしない。
  • いいこと言ってるページには、付箋をはる。
  • PCに打ち込み、資料集の形に仕立てる。このとき、Authorityを忘れないように。ついでに、どういうFunctionの議論かもメモっておくと良い。



インターネット編


◇検索エンジン
  • Google(基本!)
  • Yahoo!(ただし、ディベートではほとんど使い物にならない)
  • e-Gov(電子政府の総合窓口。政府系文書が多数。国の審議会報告書などは密度が濃く、かなり使える。)
◇新聞社記事
◇その他、おすすめソース
  • 各官公庁のページ(とくに、各審議委員会の議事録・報告書は有用。社会的に問題になっているテーマについては、たいていどこかの審議会で専門家を集め、政府も検討を加えている)
  • 政府発行の白書・報告書
  • 比較的、法人系のページはまともで深い情報が多い。



Definition(言葉の定義)探し編

  • 大学でAcademicDebateをやっている人のみ必要。この場合は、必ずリサーチの「最初に」やっておかないとダメ。
  • 目的は2つ。「くだらないTopicalityで負けないよう、自分たちの解釈がまっとうであることを示すためのMeet集を作る」「TopicalityやNewCaseのネタを探す」
  • 最低限、肯定側は「自分たちのプランが論題の枠内にあること」を示す責任があるので、必ず「自分たちがどのように論題を解釈しているか」を示せるようにしておかなければならない。そしてAcademic Debateの場合、その解釈がまっとうであることを示すためには、必ず辞書による言葉の定義(Definition)が必要。
  • 「電子辞書持ってるから大丈夫」というのは大きな間違い。世の中に辞書は何千種類も存在し、それぞれ微妙に定義は異なる。最低限、各単語につき10パターンくらいの定義を持っていないと、勝ち進むのは厳しい。
  • Definitionは、たくさん持っていて困ることは絶対にない。「明らかにこの論題の場合にはあてはまらない」と思える定義でも、後からいつどういう形で生きてくるか分からない。面倒がらずに、必ず全部コピーしてまとめておくこと。

◇作業の流れ(その1:図書館へ行く)
  • 基本的に、論題中にある全ての単語の定義を調べる(Resolved、should、theなども含む)。
  • 単語の定義探しだけで1日潰すくらいのつもりでいた方が良い。単純作業だが、かなり労力が必要なので、1人ではやらない。必ずチームメイト全員でやる。シーズン最初に1度ばっとやってしまえば、しんどいのはそれっきりなので、面倒がらずに頑張ること。
  • 辞書コーナーがあるので、有名な英英辞書を片っ端からコピーする(Oxford、Cambridge、American Heritage、Collins、Webster、Random House、Black's Law Dictionaryなど)。この際、論題にあてはまるかどうかは一切考えない。そんなことを考えるのは家に帰ってからで十分。とにかく、その単語の定義をまるまるコピーしていく。出典をきちんとメモしておくことを忘れずに。
  • 英和辞典や和英辞典は、ラウンド中で資料価値が認められないので無視。
  • 大きな図書館だと、変わった辞書もたくさんある。Thesaurus(類語)、Dialect(方言)、Slang(俗語)、Pronunciation(発音)などは、一般にラウンド中で資料価値がほとんど認められないので、無視。
  • 名詞が複数形(-s,-es)になっていたり、動詞が活用(-ing,-ed,-s)していたり、特殊な語順・文法が存在する場合(something important, each dayなど )には、なるべくGrammar(文法)専門の辞書で調べておくようにする。
  • 「carbon dioxide」のように2つ以上の単語がくっついて独自の新しい意味を生んでいたり、「human embryo clone」のように法律によって特殊な定義を与えられていたり、「Kyoto Protocol」のように固有名詞になっていたり、といった場合には、個々の単語だけではなく、全体としての意味も探しておく。

◇作業の流れ(その2:Meet集・Definition集づくり)
  • この作業は自宅で。
  • Meet集は、Topicalityの対策として肯定側が使うもの。自分たちにもっとも都合の良いと思われる単語の定義(Counter Definition)を示し、「自分たちは、辞書によって論題をこう解釈してます」「で、その解釈に沿ったプランを示しているから、私たちはtopicalです」という文脈が基本。すべての単語について1つ以上はこれを用意する。
  • 最後の「だから私たちはtopicalです」を、英語で「Therefore we meet!」というので、meet集と呼ばれる。
  • Definition集は、図書館で調べた定義を全てまとめたもの。A3ないしA4の紙を大量に用意し、左上にたとえば「Japanese」と書いたら、手元にある「Japanese」のDefinition(のコピー)を辞書ごとに片っ端からハサミとのりで切り貼りしていく。これを全ての単語について完成させたら、人数分コピーしてホッチキスで留め、完成。
  • ラウンドには、忘れずにMeet集とDefinition集の2つを持っていくこと。これがないと話にならない。

◇作業の流れ(その3:ネット活用編)
  • 最近は、ネット上で辞書の検索サービスを提供しているところも多い。特にOneLookというサイトは、何百種類もの辞書を一度に検索してくれるので非常に便利。この他、Oxfordのオンライン検索もオススメ(このサイトはOneLookの提携外らしい)。
  • 政府や法律が定義した言葉に独自の意味を持たせている場合も多いので、適当にチェックしておく(外務省のEnglish Pageが比較的便利)。
  • ただし、ネット上の辞書・定義はあくまでも補助的なもの。必ず図書館には行くこと。