Falconsの標準的な練習内容です。
UTの場合、世代交代のサイクルが早いので、先輩が手取り足取りつきっきりで教える、というのは、最初の半年間だけです。
先輩の知識を吸収して、自分でひととおり原稿をつくれるようになってからは、一人のチームメイトとして、各自が自分のペースで準備を進めていくことになります。
入ったばかりの新歓期には、Exchange Debateと夏合宿を通じて、まずルールの解説やスピーチの基本・フローシートの取り方などの基本事項を、先輩が黒板を使って講義する形で教えます。この段階では、試合で使う原稿や資料も先輩が用意してくれますし、夏休みまでは出来合いの原稿を組み合わせて、とりあえずディベートの枠組みの基礎を理解することに努力します(もちろん、オリジナルの原稿を作っても構いません)。
また、このペースでは遅い、と感じる人のために、これとは別に「インテンシウ゛・コース」という形で、もう少しロジックの深い部分を扱う練習会も開きます。やる気のある人は、週末の上級生大会にも見学に来て、英語でフローシートを取る練習をしていたりもします。また、本人が希望しさえすれば、1年1学期のうちから、2年生大会や上級生大会に参加することも可能です(この場合は、3週間くらい個人指導で特訓をしたりしますが、やる気さえあれば大会で十分通用するレベルまで成長できるので、興味のある人はぜひ挑戦してください)。
9月にセクション分けが終わり、本格的に大会に出始めるようになると、「学生会館」という建物の1階のソファで、放課後に先輩と一緒に大会への準備にいそしむことになります。ここからは、全員を集めて何かする、という形の練習はほとんどなくなり、大会のパートナーと都合のいい時間に各自落ち合って練習する、という形に切り替わります。UTの場合は、実戦を経験する中で成長してもらおう、というスタンスなので、シーズン中は「練習」=「自分が出る大会への準備」と思ってもらって構いません。最初は先輩がつきっきりで議論の方針や戦略、練習方法について教えますが、大会を2〜3個経験して、自分たちだけでも上級生大会で1勝〜2勝くらいはできるようになってきたら、だんだん先輩の手を借りずに自分たちだけで原稿を作っていく練習を始めることになります。また、この時期(秋合宿〜それ以降)に、並行して本格的なディベート理論(CounterPlan、Topicalityに代表される様々なセオリー)を先輩から学びます。
シーズンも終盤に入ると、だんだん「この先輩のこの議論、ちょっとおかしいんじゃないか」とか、「あ、このへんのシナリオの組み方、○×先輩っぽい」などということが分かってくるようになります。3月に次のシーズンが始まって以降は、今度は自分たちが作った原稿をもとに後輩を指導する立場へと移っていきます。
基本的に、学生会館でパートナーと一緒にいる間は、アイディア出し・方針の打ち合わせ・お互いが作った原稿の整理・練習試合など、相手がいないとできないことをやります。他人が作った原稿の読み込みやスピーチ練習・原稿作りなどの一人でもできる作業は、自分の家に帰ってからやる場合がほとんどです。
実際には「練習」といっても、一人立ちしてからは、たいてい各自がバラバラの作業をしているので、特に決まったメニューはありません。とりあえず論題が発表されてから原稿を作るまでの流れとしては、
- その分野の代表的な本を1〜2冊読んで、基礎知識を仕入れる(個人で)
- ブレスト(アイディア出し)をし、おおまかな方針を固める(個人・全員どちらも)
- 都立図書館にこもり、論題の単語の定義と、関連する雑誌・書籍の資料を、時間の許す限りコピーして持ってかえる(全員で)
- ひたすら資料を読み込み、使えそうなところをパソコンに打ち込んで資料集を作る(個人で)
- 並行して、自分たちの論題の解釈に見合った、適切な単語の定義のリストを作る(個人・全員どちらも)
- だいたい周辺知識まで飲み込んだところで、もう一度ブレスト。また、各自の資料集を交換(個人・全員どちらも)
- 原稿の方針・戦略をかため、議論の骨組みを書き出す(個人で)
- 資料集の中から適切な証拠資料を探し出し、英訳を兼ねながら原稿を肉付けし、完成させる(個人で)
- サークル内の他のメンバーや、他大と練習試合をしてみる(全員で)
- 弱かったところを補強し、予想外だった議論に対策を立てる(個人で)
以下繰り返し、といった感じです。自分たちで一通りディベートをやっているところなら、中高生でも大学でもほぼ同じような作業をしています。
また、この他の練習方法としては、
- フロー取り(先輩の試合を見ながら、議論のメモを英語で書き取る練習)
- 読み練(作った原稿をスムーズに読めるよう、通して読む練習を10回くらい繰り返す)
- スピ練(自分たちの想定している議論のシナリオを、原稿なしで英語で説明する練習)
- 過去の決勝のテープを聴く(上手い人の試合はテープになって残っているので、それを聴いて見習うべき点を探す)
- 自分の試合をテープに録る(どんなに自分が意味不明のことを言っているか、嫌というほどわかる)
- ジャッジをする(ジャッジの気持ちがよくわかる。試合の流れを整理して説明する練習になる)
- パーラメンタリーディベート(即興性が求められるので、その場のひらめきを鍛えるのには良い)
など様々ですが、やはりこれは人によってまちまちです。ただ、結局は実戦に勝る上達法はないので、とにかく上手い人と練習試合をガンガンやっていけば、一番手っ取り早く成長できます。
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