一般に、ディベートとは「与えられたテーマの是非について、2グループの話し手が賛成・反対の立場に別れ、決められた持ち時間・順番の中で、第三者を説得する形で議論を行うこと」であるとされています。たとえば、「日本は国名を中島みゆき帝国にかえるべきだ」というテーマを与えられたら(実際はもっとまともですが)、聞き手に対し、賛成派はそれによっていかに素晴らしいことが起こるのかを訴え、逆に反対派はそれによっていかに恐ろしい問題がおこるのかを訴えるのです。なかでも、ジャッジを説得するゲーム形式で行われ、勝ち負けを競う「競技ディベート」は、論理的思考力・客観的視点・考えをわかりやすく伝える能力etc を育てるのに効果があるとされ、多くの教育現場やサークル活動で取り入れられています。

 このディベートには、目的に応じて様々なスタイル・コミュニティが存在します。たとえば、中高生の場合は生徒の負担を考えて大学よりも試合時間が短かったり準備時間が長かったりしますし、E.S.S.では英語技術の向上を求めて日本語ではなく英語でディベートを行います。また、「とにかく論理至上主義」とするスタイルもあれば、「論理だけではなくマナーを重視しなければ駄目だ」というスタイルもあり、こうした理想の違いは、それぞれのルール・ジャッジの判定基準などにも反映されます。

 もともとディベートは欧米で生まれた競技なのですが、(他の国に比べるとまだまだ遅れているにせよ)日本でも認知度はずいぶん高まり、活動の裾野も広がりつつあります。しかしながら、残念なことにディベートに参加している人のほとんどは、活動の範囲が自分の所属するコミュニティ内のみに限られており、その他のコミュニティの活動についてはあまり知りません。

 以下のページでは、主に高校・大学を中心に、国内で展開される様々なスタイル・コミュニティを紹介していくことにします。



※まだ「ディベート」の経験のない初心者の方は、まず次の「ディベートって?」の章を読んでください。各スタイルに共通する基本的なルールを、簡単に紹介しています。何らかのスタイルで、一度でも実戦を経験したことのある方なら、この章をとばして読み進めても大丈夫です。

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